地域や社会に貢献できる人材の育成目指す「さいたま市立美園南中学校」の取組み紹介
2019年4月に美園地区に開校した「さいたま市立美園南中学校(以下、美園南中学校)」。
さいたま市立美園小学校や同大門小学校の卒業生など、美園地区新街区の南のエリアに住む生徒が通いやすく、ふんだんに木材が使用された明るい校舎に生徒の笑い声がこだまする同校では、開校当初より「地域や社会に貢献できる人材の育成」を目指し、様ざまな活動に取り組んでいます。
今回は、美園南中学校が地域と連携して取り組む社会貢献活動「届けよう、服のチカラプロジェクト」について取材しました。
秋らしい夕焼け空にモダンな校舎が映える10月下旬。生徒の皆さんが部活動やお友達とのおしゃべりなどに忙しくしている放課後、美園南中学校にお邪魔しました。
学校に向かう道すがらも、校内に入ってからも、すれ違う生徒の皆さんが「こんにちは!」「さようなら!」と朗らかに挨拶してくれます。
美園南中学校では昨年に引き続き二回目の開催となる「届けよう、服のチカラプロジェクト」は、着なくなった子ども服やベビー服を集め、服を必要としている難民の方々等に届けよう、という社会貢献活動。ユニクロでおなじみのファーストリテイリングが提供している教育プログラムに参加しています。
難民支援という人道的な意義だけでなく、着なくなった服を廃棄処分するのではなく有効活用することで、焼却処分の際に発生する二酸化炭素の排出削減につながり、地球温暖化防止への貢献も見込めます。
今年はこの地域ぐるみの「届けよう、服のチカラプロジェクト」に加え、生徒手作りの募金箱を用意し、UNHCRへの募金活動にも取り組む美園南中学校。生徒主導で様ざまな活動が進められています。
今回は、この活動の中心的な役割を担っているSSTC部(後述)の部室を電撃訪問!
部員の皆さんを若干驚かせつつ(ごめんなさい)、顧問の榎本和正先生のご案内のもと、着々と集まってきた服の山を見せていただき、お話を伺いました。
―まず、あまり聞きなれない言葉ですが、SSTCとは何の略でしょうか。
Social Science Technology Contributionの略で、恐らく他には例の無い部活動名だと思います。もともとは科学技術部という名前でした。2021年に名称変更し、今年2年目になります。
―オリジナルの名前なのですね!SSTC部について簡単にご紹介ください。
みんなが自分のペースで楽しく活動している部活です。パソコンに詳しくなり、基本的な操作ができるようになること、生徒自身が関心のある施設や起業、大学等を見学(オンラインでの実績もあり)したり研究したりすること、世の中に役立てることを考えて活動していくことを目指しています。部員は現在33名です。男子が多いですね。
―主体性や考察力、コミュニケーション能力などが鍛えられそうです!
部活動をとおして目指す生徒像や活動への思いを教えてください。
常に社会とのつながりを大事にしたいと考えています。美園南中学校で、また、この部活動をとおして、地域や社会との接点を持ち、主体的に取り組むという体験が、生徒たちの中でいきてくると考えています。「社会に出ていく」とよく表現しますが、生徒が大人になって「社会に出ていく」その前段階として、進路を考える際など、今後の人生や生活につながる経験になってほしいと思います。
実際に、生徒たちは大人とのやりとりもしっかりやり遂げていますね。
―今後の活動について一言お願いいたします。
今後もさらに地域とのつながりを広げていけるよう、できることを生徒たちと探していきたいと考えています。地域の皆さんからも、ぜひ気軽に声をかけていただければと思います。
「世界を支えるために私たちができること」。
SSTC部員の皆さんが、今回の活動への参加を全校生徒に向けて呼び掛けたスピーチからは、世界的規模で起こっている問題・課題に対して、自分たちができることを考え、その実行のための協力を集め、着実に活動を推進していく強い意志と行動力が感じられます。
「ニュースで見たり聞いたりしている世界の出来事を、他人事とせず、地球市民の一員として、苦しんでいる人たちを一緒に支えられれば嬉しいです。」
「地域に愛される学校」を目指し、小学校や地域とも連携し積極的に地域との接点を設ける美園南中学校。教室での勉強にとどまらず、こうした活動を通じて生徒が地域と関わる機会に貴重な経験ができるのは美園南中学校ならではとも言えます。将来の美園を担う「地域や社会に貢献できる人材の育成」に力を注ぐ取組みは、着々と広がっています。
※本記事に記載の役職・名称等は取材当時のものです。
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