“美園人”の今をお届け 「しょうがのむし」代表:周東孝一さん
株式会社しょうがのむし 周東孝一さん
2021年1月30日(土)に開催したオンラインイベントで、ゲスト出演していただいた「周東孝一」さん。(当時のイベントレポートはこちら)イベント参加者の皆さんからも、「非常に印象的なお話だった」とのお声をたくさんいただきました。
そこで今回は、醸造所の始動を間近に控えた(2021年5月下旬取材)周東孝一さんの活動の“今”をお伝えします!
埼玉から世界への第一歩、醸造所の進捗
「見沼区大谷に拠点を構え、発酵ジンジャーエールの醸造所建設をはじめた当初、2021年2月には内装工事が終わり、関連設備の搬入が始まる予定でした。ですが、コロナ禍をはじめ、想定外の出来事が重なったため大幅にずれ込んでしまいました。」
醸造所の命とも言えるタンクの搬入が完了したのは2021(令和3)年6月1日のこと。これまでの遅れを取り戻そうと、周東さんは、身を粉にして活動を続け、7月上旬、いよいよ本格的に醸造を開始しました。
フードロス対策の取り組み
「発酵ジンジャーエール(商品名・GINGER SHOOT)の製造・販売を手がけると同時に、フードロス対策にも取り組んでいます。」
素材には一切妥協しないことから、どうしても高くなってしまう原価をどのように抑えるかというのが大きな課題でした。
「発酵ジンジャーエールの製造には生姜だけでなく、ラインナップによってパイン果汁も使いますが、そのパイン果汁はフルーツカット工場で分厚くカットされた皮からでも、充分取れることが分かりました。」
これまでその皮は、カットフルーツを生産している工場が、多大なコストをかけて廃棄していたというのです。
これまで長年廃棄されていたものが、清涼飲料水の原材料として活用される事となりました。さらに周東さんは、規格外という理由で廃棄される大量の野菜もあることを知り、子ども食堂への寄付、そして食べられないものは堆肥にするという仕組みを考え、実際に運用しています。
発酵ジンジャーエールから繋がる、和服ロス対策
「中古の和服が、なかなか売れないという理由で大量に破棄されている現実を知りました。そしてそれを少しでも再利用出来ないか…と考えました。」
思い浮かんだのは、商品を梱包する際の緩衝材に利用する事。梱包を解くと、色とりどりの和服の切れ端があらわれるという、嬉しい驚きです。さらに、醸造所のすぐ近くにある社会福祉法人の作業所に梱包作業を委託することで、新たな仕事の循環を生み出しました。
鋭い眼差しで見据える、将来展望
「第一段階の目標は、国内における発酵ジンジャーエールの市場確立です。その後はアジア圏にも展開し、最終的には誰もが知っていて、いつでもどこでも購入できる身近な商品にしたい」と周東さんは話します。
「一方、発酵ジンジャーエールの販売量が増えれば増えるほど、見沼田んぼの休耕地は生姜畑に変わると考えていましたが、発酵ジンジャーエールで消費する生姜の量だけでは実現が難しいと感じはじめています。」
起業したときから見沼田んぼの行末を案じていた周東さんが打った次の一手は、生姜以外の野菜を美園の地元の人に買ってもらうという取り組みです。「美園ファーマーズマーケット」を企画するなどし、農家と消費者との距離を縮めながら、美園の地でより良い循環が生まれる取り組みを始めようとしています。