“美園人”の今をお届け 「カフェジャルディーノ」 シェフ門平さん&農家森田さん(後編)

2022.03.02インタビュー食べる

2021年10月、浦和美園エリアにオープンした「カフェジャルディーノ」。前編ではお店のはじまりや、ふんだんに使用されているヨーロッパ野菜について伺いました。後編では、調理や生産におけるこだわり、そして浦和美園への思いについて、たっぷりとお話いただいています!

素材を一つひとつ見極め、個性を伸ばす調理

Q.ヨーロッパ野菜を調理する上でのこだわりは?

門平シェフ:先ほど(前編)も伝えましたが、ヨーロッパ野菜は一つひとつ個性がしっかりとあるので、その個性が消えないように、さらには伸ばすように調理しています。

例えば、先ほど森田さんがおっしゃったようにチーマ・ディ・ラーパはくたくたになるまで火を通してオリーブオイルもたくさん使った方が美味しい野菜なんですね。野菜のもつ本来の特徴を一つひとつ見極めながら調理しています。

「カフェジャルディーノ」シェフ門平さん

2年間ほどイタリアに渡って修行したこともあるのですが、とにかく郷土性を大事にしているんですね。イタリアには20の州がありますが、州ごとに料理も違えば使う野菜も全然違うんです。

森田さん:私も一緒にイタリアに行かせていただいたことがあるのですが、北の方はびっくりするくらい料理も洗練されているのに比べて、南の方はよく言えば牧歌的、野草をそのまま食べている感じなんです。

私が作っているチーマ・ディ・ラーパは、南にあるプーリア州の代表的な野菜ですが、地元の人は料理に出されてもあまり手をつけようとしないんですね。

門平シェフ:南の方は色々な野草を使った料理が多いので、日本人にとってはそれも珍しいんですけどね。

森田さん:南の方だとざっくり切った野菜にオリーブオイルと塩とレモン。それを付け合わせに肉を食べるというスタイルでしたが、それが自然と美味しいんです。北と南を比べてどっちが良いとかではなく食文化が全然違うんですね。

様々なヨーロッパ野菜が並ぶ、店内の販売ブースの様子

門平さん:日本にも各地に郷土料理と呼ばれるものはありますが、イタリアでは地区ごとにその個性や食文化が確立されているように感じました。

森田さん:ああいう体験をすると郷土料理ってずっとあるべきだなあと思います。日本も地域の食文化をもっと大切にするべきだと思いました。

ヨーロッパ野菜を、この土地の食文化に

Q.ヨーロッパ野菜を育てる上での大変さやこだわりは?

森田さん:ヨーロッパと日本では気候はどうやっても変えられないので、いかにこの土地で作るかというところに重点を置いています。ヨーロッパの手法に合わせようという考えは一切無くしました。

また農業というのは基本的にその土地に根付く職業なので、ヨーロッパ野菜を通じて郷土愛を醸成しようと活動しているノースコーポレーション代表の北さんはじめ、皆さんと一緒に食文化として定着させることを目標にしています。

森田さんの所属する、「さいたまヨーロッパ野菜研究会」の「農事組合法人FENNEL(フェンネル)」メンバー

あとは昨今関心が高まっているSDGsのイメージにちかいのですが、ただ作るのではなく、将来に繋げられるような体制づくりであったり取り組みをしていきたいなと思っています。

生産者とお客様との繋がりを生み、料理を通して地域愛を育む

Q.お店づくりをする上で大切にしていることは?

門平シェフ:一番大切にしているのは生産者とお客様との繋がりですね。例えば野菜を作ってくれる森田さんの顔はお客様に伝わらないのですが、料理を通して、そのこだわりや気持ちが伝えられればと思っています。

生産者とシェフの思いが「カフェジャルディーノ」の料理を通じて広がっていく

畑からできたものを僕らが料理という形にしてお客様に伝える。それでみんなが喜んで幸せになっていただければ僕自身も幸せですし、そういう気持ちで日々取り組んでいます。

このお店で食べた野菜や料理がきっかけになって、地元のことを知ったり愛してもらえるようになれば、地域も活性化するでしょうし地域愛というものが根付いてくれたら良いなと思っています。

浦和美園は新しい街。これから文化を育て、次の世代へと伝えたい。

Q.浦和美園の街の変化はどのように感じますか?

森田さん:生まれた時からこの辺りのことは知っていますが、当時の景色が思い出せないくらい変わっています。同級生の家もどこに行っちゃったんだろうという感じです(笑)。昔は田んぼと畑ばかりだったので、人が増えたというレベルではないですよね。

門平シェフ:お店ができる前は、近くの畑に立ち寄るくらいだったので街の変化というのは実感として無いのですが、浦和美園は新しい街というイメージが強いですね。

これから文化が育っていくと思います。次の世代に何かを伝えられるような場所にできたら良いなと。色々な地域から様々な人が移り住んできて、多様な考え方や価値観もあるでしょうし、うまく馴染んで行けたら良いなと思っています。

「カフェジャルディーノ」から、新しい美園の思い出や文化が紡がれていく

自分たちの住む街にヨーロッパ野菜が食文化として身近にあること

Q.今後、浦和美園に期待することは?

森田さん:まずは”消費”というところで期待できると思います。ここにいる人たちが地元で採れた野菜に興味を持って食べてくれるというのが農家としては一番有難いですね。

また「カフェジャルディーノ」のような素敵なお店やヨーロッパ野菜と出会うことによって、自分たちが暮らす浦和美園のことをもっと誇りに思っていただけるようになれば嬉しいです。

門平シェフ:自分たちの住む街に、ヨーロッパ野菜が食文化のひとつとして身近にあるということが良いなと思います。お店のメニューに「バーニャカウダ」がありますが、見た目が珍しい野菜もあり、お子さんも興味を持って口に運んでくれるんです。そうすると「美味しいね!」って。

この街で育った子どもたちがヨーロッパ野菜をきっかけに、野菜が好きになってくれたら嬉しいですし、将来は自分でも調理できるくらい食べ慣れてくれたら良いなと。

さいたま市では学校給食でもヨーロッパ野菜が使われているんですよね。

森田さん:さいたま市の小学校は自校式給食なのですが、ヨーロッパ野菜に関心のある栄養士さんからも問い合わせをいただくようになりました。

また11月は学校給食の地産地消月間ということもあり、私たちの作っているカリフローレという野菜を温野菜にして使っていただいています。さいたま市内の小中学校合わせて160校以上もの学校で、地元の食材を取り入れた給食を食べるといった取り組みが行われているのは素晴らしいですね。

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取材にご協力いただき、ありがとうございました!ぜひ皆さんも、「カフェジャルディーノ」で生産者とシェフの思いを体感してみてください。

【カフェジャルディーノ シェフ 門平光正さん(右)】
食を通じて地元さいたま市・埼玉県の地域づくりに貢献する株式会社ノースコーポレーション所属。2021年10月にオープンした「カフェジャルディーノ」のシェフとして腕をふるうほか、系列店の「秩父うさぎだ食堂(秩父市)」でもその経験を生かし地域のワインや食材のPRに貢献。

【さいたまヨーロッパ野菜研究会 生産者 農事組合法人FENNEL 森田剛史さん(左)】
「カフェジャルディーノ」から車で2〜3分のさいたま市岩槻区釣上で代々農業を営む。もともとは地元名産の小松菜を主に生産していたが、株式会社ノースコーポレーション代表取締役の北さんとの出会いにより2014年からヨーロッパ野菜の栽培に着手。さいたま市内の若手農家13名からなる「農事組合法人FENNEL(フェンネル)」のメンバーのひとり。

美園人編集部
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