“美園人”の今をお届け 「カフェジャルディーノ」 シェフ門平さん&農家森田さん(前編)

2022.02.22インタビュー食べる

2021年10月、浦和美園エリアにオープンした「カフェジャルディーノ」。本格的な薪窯で焼き上げるナポリピッツァをはじめ、地元で採れたヨーロッパ野菜を使った料理など、ここでしか出会えない味を求めて多くのファンが訪れているようです。

今回はイタリア料理に魅せられた同店シェフの門平光正さんとヨーロッパ野菜を生産する地元農家の森田剛史さんにも同席いただき、お店の特徴やヨーロッパ野菜への想い、浦和美園の街の魅力などについてたっぷりとお話を伺いました。

ヨーロッパ野菜を生産する地元農家の森田さん(左)と「カフェジャルディーノ」シェフ門平さん(右)

本場の野菜を求めるノースコーポレーションと地元農家の出会いが始まり

Q.まず、門平シェフと森田さんの出会いについてお聞かせいただけますでしょうか?

森田さん:8年ほど前になりますが、こちらのお店を運営する株式会社ノースコーポレーションの北社長から「お店で本場の野菜を提供したいので、ヨーロッパ野菜を作ってくれませんか?」とお誘いをいただいたのが始まりです。

当初はヨーロッパ野菜に関する知識が無かったので、名前も聞いたことが無ければどのタイミングで収穫したら良いかもわかりませんでしたし、ノースコーポレーションのシェフにお話を聞きながら試行錯誤してきました。その中で門平シェフとも出会い、今こうして「カフェジャルディーノ」の料理にもたくさん野菜を使っていただいています。

2021年10月にオープンした「カフェジャルディーノ」外観

門平シェフ:森田さんの畑がお店から車で2〜3分のところにあるのですが、森田さんが納品に来てくれたり、僕が畑に行って買い付けることもあります。畑の状況を見せてもらったりいろんな情報交換をしながらお付き合いさせていただいています。

以前はヨーロッパ野菜を輸入で使っていたのですが、コストが高いわりにお店に届く頃には鮮度も落ちてしまっていたので、地元でヨーロッパ野菜の採れる畑があるというだけで、すごく楽しく料理させてもらっています。

森田さん:ノースコーポレーションのシェフは畑仕事のお手伝いにも来てくれるんです。以前は市場に卸してしまえばそれでおしまいという感じだったんですけど、ヨーロッパ野菜の取り組みが始まってから門平シェフや他のシェフとも知り合うことができて、野菜づくりを通していろんな方との出会いがあるのも楽しいです。

健康的に食を楽しみ、ゆっくり過ごせる場所がコンセプト

Q.お店をオープンした経緯についてお聞かせいただけますでしょうか?

門平シェフ:きっかけは、埼玉トヨペットさんの移転に伴って「カフェをオープンしたい」といったお話がありまして、地産地消に取り組んできた弊社を選んでいただいたというのが始まりです。健康的に食べながらゆっくり過ごしていただけるような場所をコンセプトに、ヨーロッパ野菜をふんだんに使ったメニューを提供しています。

天気の良い日は、テラス席でのランチも心地よい

また浦和美園は小さなお子さんのいるファミリー層も多い地区なので、食育といった部分も含めて幅広い年齢層の方に楽しんでいただけるようなお店づくりも工夫しました。

ランチで提供している前菜の盛合せとピッツァのセットがあり、ヨーロッパ野菜を含めて20種類以上もの野菜が食べられるのでおすすめです。またカフェの種類も豊富なのでデザートやジェラートを求めていらっしゃる方も多いですね。

様々なヨーロッパ野菜と、窯で焼きあげられるピッツァ。

あとは店内にヨーロッパ野菜の販売コーナーもありまして、料理を召し上がっていただいた後に興味を持ってお買い求めいただいたり、なかには野菜だけを求めていらっしゃるファンの方もいます。

新鮮なヨーロッパ野菜たちが並ぶ、店内の販売コーナー

一つひとつの野菜が個性を持ち、野菜本来の味や香りが楽しめる

Q.ヨーロッパ野菜の特徴や魅力とは?

門平シェフ:まずは色彩が豊かなので見た目のインパクトと、一つひとつの野菜がしっかりと個性を持っているので野菜本来の味や香りを楽しめます。日本の野菜はどちらかといえば上品と言いますか、ヨーロッパ野菜は一つひとつの野菜が個性を主張してくるんですよね。

森田さん:農業の視点から言うと日本の野菜は品種改良をしてクセを無くすような方向性で進歩してきたんですね。例えば苦くないピーマンとか。

それに比べてヨーロッパ野菜は個性はそのままで、苦いものは苦く、甘いものは甘い。辛みのある強烈なものもありますし、でもそれが味の強いチーズとか肉に合わさるとすごく魅力的な味になるんです。

門平シェフ:ヨーロッパ野菜は、メインに添えるものではなく、それだけで主役になれるようなポテンシャルを秘めていますね。

秋から冬にかけて収穫されるイタリアの菜の花「チーマ・ディ・ラーパ」

Q.ヨーロッパ野菜と言っても様々な種類がありますが、好きな野菜はありますか?

森田さん:自分で作っているということもありますが、チーマ・ディ・ラーパというイタリアの菜の花と花ズッキーニが好きですね。

この日の販売ブースにも、チーマ・ディ・ラーパが

日本の菜花は春先に出てきますが、チーマ・ディ・ラーパは秋から冬にかけて収穫します。どちらも苦味を楽しむという部分では似ているのですが、風味や苦味はチーマ・ディ・ラーパの方が強いかなと。

また調理の仕方も違っていて、日本の菜の花はさっと茹でて、からし和えにして食べると美味しいですが、チーマ・ディ・ラーパはくたくたになるまで煮た方が私は好きですね。

門平シェフ:森田さんに作っていただいている野菜は年々進化していて、チーマ・ディ・ラーパはパスタソースにするだけでも美味しいんです。花ズッキーニも詰め物にしたり。ちっちゃいものは輪切りにしても綺麗ですし、お花もサラダでそのまま食べられるので重宝しています。

ちなみに私はラディッキオが好きですね。ラディッキオ・タルディーボというちょっと高級な品種があるのですが、鴨肉など、ちょっと強いお肉と合わせても全然負けないんです。甘みや苦味いろんな風味があって、冬の短い期間しか食べられない野菜ですが大好きです。

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後編は、ヨーロッパ野菜の調理へのこだわりや浦和美園への思いをご紹介します!

【カフェジャルディーノ シェフ 門平光正さん(右)】
食を通じて地元さいたま市・埼玉県の地域づくりに貢献する株式会社ノースコーポレーション所属。2021年10月にオープンした「カフェジャルディーノ」のシェフとして腕をふるうほか、系列店の「秩父うさぎだ食堂(秩父市)」でもその経験を生かし地域のワインや食材のPRに貢献。

【さいたまヨーロッパ野菜研究会 生産者 農事組合法人FENNEL 森田剛史さん(左)】
「カフェジャルディーノ」から車で2〜3分のさいたま市岩槻区釣上で代々農業を営む。もともとは地元名産の小松菜を主に生産していたが、株式会社ノースコーポレーション代表取締役の北さんとの出会いにより2014年からヨーロッパ野菜の栽培に着手。さいたま市内の若手農家13名からなる「農事組合法人FENNEL(フェンネル)」のメンバーのひとり。

美園人編集部
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