人それぞれが持つ「ぎこちなさ」を和らげたい~小児科医監修の美園の多機能型子育て応援施設を取材しました

2023.06.12インタビュー育む

埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線「浦和美園駅」東口より徒歩7分。駅からほど近い美園の住宅街の一角に、通称「アンクラ」として親しまれている子育て応援施設「アンチクラムジーステーション」があります。

人それぞれがもっている、様ざまな「ぎこちなさ」を和らげるようなお手伝いがしたい、という想いから誕生したという「アンクラ」。人がもつ「ぎこちなさ」にはいろいろある、という考えのもと、赤ちゃんとの関わり方から専門性の高い子育て相談、子どもの運動機能へのアプローチ、各種トレーニングやものづくり体験など、一つの施設内で多様なプログラムを展開しています。

昨春のオープンから一年を経て、2023年5月1日、さいたま市民の日に開催された1周年記念祭では、お友だちと遊びに来た子どもたちやたくさんの親子連れが和気あいあいと楽しんでいました。

二年目を迎え、子育て世代の強い味方としてだけでなく、より幅広い世代が集うひらかれた場所へとその展開が注目される「アンクラ」。今回は、子どもの発達診療を専門とする医師であり、二児のママでもある「ステーションマスター」の綾部敦子先生にお話を伺いました。


ー「アンチクラムジーステーション」という名称にある「クラムジー」とは、あまり聞きなれない単語ですが、どんな意味があるのでしょうか。

「クラムジー(clumsy)」とは「ぎこちない・不器用な」という意味の英語です。

予防医学という観点がありますが、美園の小児科クリニック「ゆうすずこどもクリニック」で診療している中で、医療だけでは行き届かない部分を感じることがありました。「こんなサポートがあったら医療につながらずにすんだかもしれないなぁ」というサポートを、地域のお子さんや子育て世代に提供できる施設を作りたいという想いから、開設に向けて動き出しました。

特に、さまざまな不器用さを抱えているお子さんや保護者の方が周りに遠慮せずに利用できる施設(station)を作りたくて、「不器用さにあらがう」といった意味を込めた「アンチクラムジー(anti-clumsy)」という造語にし、施設名称にしました。

不器用さも個性ではありますが、本人が気にしているようなら一緒に和らげるお手伝いがしたいですし、気持ちの不器用さでしたら、寄り添って過ごせるような場所になっていけたらと考えています。

ー「アンクラ」のおすすめポイントを教えてください。

子どもたちや親子が入って来やすく、過ごしやすい、遠慮しなくていいような施設づくりやプログラム企画を目指しています。子どもも大人も安心して参加して頂ける担当者や講師にお願いし、質の高いプログラム提供を行っています。

施設内装でこだわったのは人工芝です。かしこまらずに、ごろ寝もできる人工芝は整備したいと思いました。

―緑を多用した、居心地のよい空間ですね。オープンから1年を経て、印象に残っているエピソードはありますか。

昨年9月に初めて開催したイベントが印象的でした。
「アンクラ祭り」と称して、施設前の駐車場も使ってフリーマーケットや物販、ヨーヨー釣り、うちわ作り、ベビーマッサージのプログラム体験などを行いました。親子連れがふらっと立ち寄ってくださったり、いらっしゃった方がスタッフと談笑したり、そこに集う皆さんの雰囲気がとても柔らかくて、見ていてとても嬉しい気持ちになりました。
その時の雰囲気は、私がこの美園でひろげていきたい雰囲気に重なる部分があって、今後もささやかだけれど、このような心地よいイベントを定期的に開催していきたいなと思っています。

―どなたでも利用可能な無料のフリースペースとしても開放しているとお聞きしましたが。

フリースペース「ふらっと」として、有料プログラムの入っていない時間に施設を開放しています。

最初は、自宅で日中を過ごしている小・中学生たちのことを考えたところから始まりました。学校に疲れたり、何らかの違和感があって学校に足が向かなくなったりしているお子さんたちに「そんな時もあるよ。学校以外にも居場所はあるよ。」と感じて欲しくて、何のしばりもない「ふらっと」というフリースペースを始めました。

実際に始めてみると、保育園や幼稚園入園前のお子さんと保護者の方が利用してくださることが次第に増え、地域のニーズを学ばせていただいています。

今後も、お子さんや子育て世代を中心に、どなたでも安心して利用できるスペース運営をしていきたいと考えています。みんなで楽しめるようなプログラムも始めたところで、心地よさをさらに工夫して運営していく予定です。

―「アンクラ」のこれからについて、お聞かせください。

医師である視点から「こんなプログラムを受ける機会があったら、医療につながらずにすむかもしれないなぁ」という方向性を保ちながら、美園のお子さんや保護者の皆さんが、ゆるっと過ごせる場所になれたらと思います。

「心地よさや柔らかい雰囲気」と「質の高いプログラム提供」の両立が続けられるように、運営を行っていきたいです。


美園の子どもたちの成長に寄り添い、見守ってくれる子育て応援施設「アンクラ」。子育てに悩んだときなどに受けられるサポートはもちろん、普段の暮らしの中でゆるやかにつながる関係性もまた、「心地よさ」の秘訣かもしれません。赤ちゃんから大人まで、様ざまなニーズに対応したプログラムがありますので、ぜひ「自分に、子どもに、ぴったり」を探しに、気軽に覗いてみてください。


■アンチクラムジーステーションについて
住所:埼玉県さいたま市緑区美園3-9-16 エース美園第一ビル1階 C・D室
電話番号:048-711-8731
受付時間:月〜日(水曜日を除く)10:00〜17:00
※プログラムによっては9時30分〜20時まで開催しています。
【定休日】水曜日
【休業日】祝日・お盆・年末年始の他、イベントや研修等により休業になる日があります。

公式サイト:https://anti-clumsy.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/ankura.misono/

※フリースペース「ふらっと」のオープン時間については、当日の予定を毎朝10:00頃公式Instagramのストーリーズおよびtwitterにてお知らせしています。また、施設前に設置した看板でも掲示しています。

アンチクラムジーステーション ステーションマスター 綾部敦子 先生

ゆうすずこどもクリニック(さいたま市緑区美園)副院長。
小児の発達診療を専門とし、東京都立城北特別支援学校学校医、埼玉県立蓮田特別支援学校巡回医、埼玉県南部保健所子どもの心の健康相談相談医などを歴任。
日本小児科学会小児科専門医・小児科指導医、日本小児心身医学会認定医、日本小児保健協会所属。

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「アーバンデザインセンターみその(略称:UDCMi)」は、さいたま市美園地区にて、これからの美園をかたちづくり、「公民+学」が連携し地域課題解決に取り組むまちづくり拠点施設として、2015年10月に浦和美園駅西口に開設されました。 UDCMiは、まちづくりを推進する美園タウンマネジメント協会の取組みの一環として開設・運営されており、その運営事務局を「一般社団法人美園タウンマネジメント」が担っています。
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